トータルヘルスデザイン公式サイト

HOME > 今月のコラム > バンクシアの響き

バンクシアの響き

時代が急展開している今、
人間社会の新旧交代にまつわる出来事の本質をトータルヘルスデザイン 近藤洋一が考察します。

イノチを考える(2)


高齢化社会が進展する中で、介護そして医療にかかわる問題が待ったなし?のテーマとして日常世界に浮上しています。私どもは「元気の力を暮らしに生かす」という社是の下に、「美と健康」という領域で仕事をさせていただいているのですが、意識のあり方が大きなウエイトを占めていることを痛感しています。

「健康」をテーマといたしますと、必然的にその対照領域として「病気」が浮かび上がってまいります。

「病気にだけはなりたくない」と思うのは誰しもですが、体調を崩したりすると、ついつい病気のことが脳裏をよぎり、「あれはダメ、これはダメ」と意識が病気の方に行ってしまいがちだと思うのですが、心だけはいつも明るい方を向いていたいものだと思うのです。「病気を治す」という発想に立ちますと、胃が悪い、肝臓が弱っているなど、体の部分?が対象になり、ついつい不安が増幅される傾向にあると言ってよいと思います。

一方「元気になる」という発想に立ちますと、「【イノチ】のあり方」という根源的な全体像?が浮かび上がってまいりますので、未来への希望が湧いてくるように思うのです。

すなわち心を自然な状態に遊ばせておくと、少々具合の悪いところがあっても「元気の力(自然治癒力)」が働いて、気が付いてみると明るい毎日を楽しんでいた、ということになるのではないでしょうか?

とは申しましても、現代医療を否定したり、軽視しているわけではありません。病気のことなど忘れて暮らしを楽しみ、体のことが気になるときには信頼できるお医者様に、すべてをお任せしたら良いと思うのです。

【イノチ】とは一体何なのでしょうか?

 7月号のこの欄でご紹介させていただきましたが、発生生物学の世界的権威・故岡田節人博士は「実証はされていませんが、【イノチ】というものは、ただ一つ、一回しか生まれたことがないという認識は、今日、発生学の方では常識になっています」と述べておられます。

私たち人間は、サルから進化して今日に至っていると言われています。サルはケモノですが、その前に、恐竜や鳥、魚などがいて、ずっとさかのぼるとアメーバに至ります。

進化とは一体何なのでしょうか?

もし鳥や魚がコンピューターのような仕組みをもった存在だとしたら、そのコンピューターを動かしているプログラムは不変ですから、それ以上に進化することもなく、いつまでも鳥や魚が生み出され続けることになります。

コンピューターがいかに精密に設計されたものだとしても、プログラムを超えて進化していくことはあり得ませんね。魚はいつまでたっても魚、鳥は鳥のままです。

いくら環境が変化したからと言って、魚が水の中から陸に出て歩くことはできませんし、鳥のように自由に空中を飛び回ることもできません。

生物が進化するということは、いまその生物を動かしている【イノチ】のプログラムを必要に応じて変更することができるということを意味しています。

ある時、サルから人間が現れたということは、サルに組み込まれた【イノチ】のプログラムは、人間の科学技術をもってしては、実現不可能な優れものということになります。

ただひとつ、一回しか生まれたことのない【イノチ】?から、何千、何万、何億という生物が誕生し、
進化して今日に至っていること、そしてある時、サルから人間が生まれたということは、【イノチ】には、想像を絶する、それこそ神様のような叡智が組み込まれているということになりますね。

古代インドのヴェーダ哲学では、宇宙の根源としての唯一不変の絶対的な実体をブラフマンと呼び、私たちの意識の最も深い内面に存在する個?の根源をアートマン?と呼んでいると言われています。

「梵我一如」という表現がありますが、「【宇宙の根源としてのブラフマン(梵)】は、私たち一人一人に属する【個としてのアートマン(我)】と本質的には同一である」ということを意味しているそうです。

個人としての【我】が、宇宙全体の【梵】と同一であるという悟りに達することにより、あらゆる苦しみから解放され、永遠の至福が訪れるという思想なのだそうです。

現代科学のビッグバン宇宙論によりますと、私たちの宇宙は、いまから138億年前、ある一点で大爆発が起き、それ以来この宇宙は膨張を続けていて、現在に至っているとされています。

ビッグバンが起こったその瞬間に、今後この宇宙は、どのように変化していくのかというプログラムが決定したと考えられます(宇宙根源の意思ですね)。

そして「ビッグバン宇宙のプログラム」は、私たち「個」としての人間も含めて、生きとし生けるすべてのものの中に、セットされたのだと思われます。このように考えますと、宇宙根源の意思は、私たちの気が付かないうちに、私たちの内部から込みあげてきているのかもしれませんね。

私たち人間が進化しているとしたら、魚や鳥やサルが進化するときに起こったと同じように、環境の変化に応じて、人間に備わっている「宇宙のプログラム」も変化しているということになります。

人間が進化して神様になる日がやってくるのでしょうか?

「衆生本来仏なり」という言葉があります

たった一回、ただ一つだけ生まれた【イノチ】が、今やこの現実世界には、男もあれば女もある、老人もいれば青年もいる、水の中で泳ぐ魚、空を飛ぶ鳥など、ありとあらゆる数えきれないほど多種多様な存在となって現れています。

こうした存在をすべてまとめて【衆生】と呼んでいるのですが、これらはたった一つの【イノチ】から生み出されているというのが真実の姿だというのです。

この【イノチ】のあり方を、白隠禅師は「衆生 本来 仏なり」と表現しておられるのですね。

「仏」というのは、ブラフマンすなわち根源的な唯一の【イノチ】を指していて、その【イノチ】が私たちすべての人、すべての存在(衆生)の根底に存在しているというのです。

【イノチ】というのは「仏性」「神性」を指していて、私たちの本質として、生きとし生けるものすべてに存在しているということになります。

密林や海底など原始の世界に住んでいる動物たちが、大自然の中で何の問題もなく生きていくことができるのは【イノチ】にセットされている宇宙のプログラムが正常に働いているからだと思われます。それに対し、大脳の発達しているはずの人間が、何故か失敗を繰り返し、危険な立場に追い込まれがちなのは、【イノチ】(宇宙のプログラム)にセットされていない「エゴの世界」を追求するためではないでしょうか?

現代社会の抱えている根源的なテーマですね。